何故、発達障害のある子の親御さんたちに、未だにこの認識が浸透していないのだろう?教育、支援の場で活かされていないのだろうか?
この記事は、藤川洋子氏の「非行から見えてくるもの/2009」を読んでの感想記事です。知的障害、発達障害のある人の犯罪を防ぐために今、できることを共有できればと思います。
《記者から》
発達障害の子どもと接するとき、してはいけないことを教わりました。「横を向くな」という否定形の命令はだめ。その子はどうしていいかわからず、きょろきょろするばかり。「前を向きなさい」とストレートに伝えるべきだそうです。
「何回言ったらわかるんだ」という回答不能な問いかけもだめ。これって、どの親にも通じる戒めではないでしょうか。教えは私の胸に突き刺さりました。否定されたのは、わが子に向けて口にしてきた文言ばかりだったからです。
朝日新聞「非行から見えてくるもの」/記者・大出公二
反省を求めず再犯を防ぐ
2009年、朝日新聞に掲載されていた藤川洋子氏(2009年京都ノートルダム女子大教授)の反省なき更生という言葉に触れました。「非行少年に反省を求めない」というもの。
そこだけを切り取ると、とんでもない誤解が生まれます。実際どういうことなのか?藤川教授(2009年当時)の記事引用文です。
一般に、非行少年には、まず反省が求められます。しかし、PDDの子は社会から何を求められているかがわかりにくい特性があり、時にとんちんかんな対応をしてしまう。それで「本当に反省しているのか」とたたみかけられるという悪循環があります。(中略)「心からの反省」を求めることは、しばしば永遠の平行線を意味します。こうした非行少年には「反省なき更生」という道も探るべきです。
朝日新聞・非行から見えてくるもの(2)
受容と共感もNGだった
一見、理解し共感することが好ましいと思えるアプローチ。実はNGらしい。
「私にはあなたの思いがわかるよ」と言うような「受容と共感」のアプローチも好ましくありません。人により接する態度が変わるのは、かえって混乱を深める結果につながります。一貫した態度で社会のルールを教えることが大切です。反省できないのを責めるのではなく、安心できる居場所を提供し、そのうえで社会で生きていくにはどうすればいいのか、その人の特性に合ったライフスタイルを一緒になって探していくのです。そして何より重要なのは、周囲が発達障害について理解することです。
朝日新聞・非行から見えてくるもの(2)
この受容と共感アプローチが好ましくない理由についてハッとさせられ理解できました。
意外とやりがちなんですよね。
特に厳しい父親がいる世帯では、母親はどうしても子をかばう。ただ、社会のルールを教える時は一貫した態度で接する。それが発達障害のある子への理解ですね。
教育、福祉関係者とここの部分を共有したいですね。
受容と共感は、時として間違った選択につながるので気を付けたいです。
何度も繰り返す問題行動にどう対応する?
ASDのある人(子)の行動が好ましくない、社会ルールを守れない時、これまでの対応は「反省を促す」一択でした。反省文を書かせる、〇✖絵カードを用いるなどもありました。
我が家も一時、これらを用いて取り組んだことがありましたが、思春期以降は全く効果がありません。そうなると精神科の薬を処方して頂いては?と、必ずそういう話になります。
いや、そこじゃないと思うんですよ、違うんですよ、きっと。
途方に暮れていた頃に読んだ本が、自閉症者の犯罪を防ぐ提言です。本を読んで初めて、藤川洋子さんの関連の本や記事(2009)にたどり着きました。
その後、反省させると犯罪者になります / 著・岡本 茂樹 (2013)、ケーキの切れない非行少年たち/著・宮口幸治(2019)と反省に重きを置かない本が出版され読みました。
学んだのは、ASDのある人(子)の脳、認知です。10年前の記憶が今、目の前で起きてるかのようなフラッシュバックになってしまう事実です。
ASD特性のある子に反省を促すことが、再犯への行動抑止につながっていないなら、反省に重きを置かない、「反省なき更生」への道を探ることが理解できます。
問題行動を繰り返す時の着地点、一緒に考えてゆきたいですね。
【参考】
- 非行から見えてくるもの:3(藤川教授)(2009/1/17)
- 非行から見えてくるもの:2(藤川教授)(2009/1/10)
- 非行から見えてくるもの:1(藤川教授)(2008/12/27)