医学というのは、病んでいる人が自分で治療できないといかんのじゃないのか。
みんな自分で勉強すればいいんだよ。それで試してみればいい。
発達障害は治りますか?/神田橋條治
発達障害者は発達します
発達障害は治りますか?/神田橋條治
発達障害は治りますか?/著・神田橋條治ほか
発達障害は治りますか?/著・神田橋條治ほか
「発達障害は治るのか?」という疑問に向き合った本。怒りと暴力、代替え療法、漢方処方など、臨床現場で患者と向き合った医師が語った本。発達障害は神経発達症へ名称変更された今、一度は読んでほしい。
本がオススメの人!
- 発達障害って何?と疑問に思っている方
- 発達障害のある子(人)の家族、当事者、医療、福祉、支援者
本で学べること!
- 発達障害のある人の身体に注目し、治すことができる
- 治しやすいところから治す
本で発達障害者は発達することがわかる
- 発達障害者は発達する
- 医療によってめちゃくちゃになる患者たち
- 問題行動への対処
- 怒りと暴力
- 身体を使ってのコミュニケーション
- 脳が発達する一人遊び
- 漢方を処方する理由
- 養生のコツをつかむコツ EBMと代替え療法
- 代替え療法を否定しない理由
- 「気持ちがいい」を探す
本を読んで思ったこと
今から20年前の発達障害を取り巻く環境は、精神科医に勧められるまま、薬を飲めば治るという考え方に至っていました。
誤った治療によって害を受けた患者(三次障害)がいること、神田橋先生が三次障害になった患者の治療にあたっていること、そして、その患者たちが治っていることなどが書かれています。
発達障害にかかわる腑に落ちなかった部分にも、本を読んだだけで答えが出ました。
とくに発達障害の人の脳には処方は少量にしなくてはいけないということが、だんだんわかってきましてね。普通の人の八分の一や十六分の一でいいところもある。
発達障害の人は脳を発達させないといけないんだから。薬はそれを妨げてしまう。(中略)五歳から、抗うつ剤を飲んでいる子がずーっと飲み続けて、八十五歳で天寿を全うするようなことがあってはならない。義足を使うのとは違うんだからね。
発達障害は治りますか?/神田橋條治
とにかく本の情報が新しいのです。
臨床の場で患者を診ている先生が、発達障害をどう見ているのか?が分かります。読者に読みやすい会話形式で書かれ、人が生きてゆくために必要な治療を実感させた本でした。
発達障害者は発達する、当事者や家族が自分で、安価に、自宅でできる療育・養生のコツを考案するのも治療者の仕事
発達障害は治りますか?/神田橋條治
今の時代だからこそ、希望をもって育てるために読んでほしい一冊です。
補足
著者が、どんな医師なのか?が分かるエピソードは本の中でも出てきますが、ここでは心理士の愛甲修子さんと児童精神科医の杉山登志郎先生、北海道大学の小山司教授の引用を紹介します。
発達障害は治りますか?/著・神田橋條治ほか/浅見淳子さんP19
- 児童精神科医杉山登志郎先生は、神田橋先生について「その慧眼(物事の本質や裏面を見抜く、すぐれた眼力)には敬服の念を禁じ得ない」(「そだちの科学」13号成人の発達障害)
- 北海道大学の小山司教授はこのように表現していらっしゃいます。「精神療法家としてご高名な先生でいらっしゃいますけれども、非常にバイオロジカルな志向性もお持ちでありまして、非常にバランスの良いお考えの先生」(「臨床精神医学」36(4)417-433 2007年PTSDの治療)。
先生は患者さんを診て、どこが苦しんでいるのかわかるんです。私たち陪席している心理士やドクターは、その技を盗もうと一生懸命やっています。
発達障害は治りますか?/著・神田橋條治ほか/愛甲修子さんP19